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ぬいぐるみのげんざいち展 と 私のあり方

更新日:2023年7月31日


SNSで情報が流れてきてからというもの、ずっと心がソワソワと落ち付かず気になってしょうがない。

タイトルも自分の作品とリンクするし、ぬいぐるみを扱う展示だというのに方向性が大人っぽく先を行く感じがとても心に残った。


展示イベントで講演会をされた菊池浩平さんのテキスト「人形と人間のあいだ」を読み進めつつ、気持ちを上げながら人形の家へ初めて足を踏み入れました。

菊池浩平さんのテキストを読むうちに、人形・ぬいぐるみへの捉え方が自分の中で少し変化した気がします。昔から人形は人々の心の拠り所として存在感を放ち、抽象的な感情移入のみならず、ビジネスとしても扱われ、幼児のお守り・病や災難を祓うものとして願いを込めるある種イコン的な役割も果たしていたのだと知り、世の中での立ち位置がただ可愛いだけの存在ではなく歴史と共に変化し続けてきたのだと認識する事が出来ました。


展示会場は小さなスペースながら、個性豊かなぬいぐるみが沢山並び私を温かく出迎えてくれました。展示内容は、8名のぬいぐるみ作家による約70点ほどのぬいぐるみの展示とそれにまつわる紹介文で構成され、作家の思いや愛情、誕生秘話などのエピソードが盛り沢山!私の口角は終始上がりっぱなしです。

ぬいぐるみは表情が愛らしく、子供っぽい印象を受け取られやすいと思いますが、作り手の込めた思いや、長年愛用することで宿る力のようなものを感じた後は、むしろ熟年して落ち着いた大人のように見えてくるから不思議なものです。


帰り道ふと昔描いた作品を思い出しました。「Oh!mimi」というタイトルの作品で、私が幼少期から大切にしている一体のぬいぐるみを主人公にしたもの。

私自身もぬいぐるみが物凄く好きな子供で、幼少期には戸棚一つがパンパンになるほど所有していました。成長すると共に必要性が薄れていったぬいぐるみは、悩んだ末に通っていた幼稚園に寄付する形でお別れしましたが、うさぎのmimiだけはどうしても手放せなかったのです。

そんなうさぎのぬいぐるみをモチーフにした絵ですが、画中のmimiは銃を耳に当て向こうの世界へ飛び立とうとしています。なぜ大切なぬいぐるみにそのようなスタイルを取らせているかと言うと、大学卒業する頃ふとこの年になって未だにぬいぐるみを大切に持っているなんてどんなものかと、処分しようとしました。ポイっと捨ててしまえばいいのですが、それがどうしても出来ないのです。まるで自分を傷つけるかのようで・・・。

あきらめてばらく放置していると、mimiの必要性がドンドンクリアになっていき見るたびに子供の頃の幸せな思い出を運んできてくれました。「自分は世間体を気にしてなんてバカな事を考えたのか・・」と深く反省しました。あれはぬいぐるみではなく自分の過去の塊なのだとその時気づかされました。

その一連の流れを知った、mimiの心境を想像すると恐らく

「大切な人から必要とされることが無くなり、自分を捨て去ろうとしている。あなたが処分出来ないのならば自ら消えてなくなります。。。」

きっとこんな感じかな?とお詫びの気持ちを込めて物語に起こし絵画として残してみました。


ぬいぐるみは例えるならば手持ち鏡のようなもの。

ぬぐるみのげんざいちは、今の私のげんざいちだと思います。

気づきに繋がる素敵な展示をありがとうございました(^^)








103.0×73.0cm oil on wood panel 2008
「Oh!mimi」



追伸:クマの写真は、ミュージアムショップで購入したリーメントさんの「ぷちサンプルシリーズ」薔薇の国の宮殿の一つです。赤い椅子が欲しかったのですが・・・w








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